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小説

ハヤカワのAmazonセールに合わせ、海外から国内、SFからミステリに至る傑作を一覧紹介してみた。

ハヤカワの傑作小説を紹介するよ。 ●海外SF グレッグ・イーガン『順列都市(上)(下)』 グレッグ・イーガン『ディアスポラ』 グレッグ・イーガン『しあわせの理由』 アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)(下)』 オーソン・スコット…

「ヲトナ基地」に新しい記事を載せたよ。

宣伝デス。 マルハン東日本のウェブサイト「ヲトナ基地」に「大ヒット『呪術廻戦』から文学賞四冠『地雷グリコ』まで、螺旋進化する異能バトルと特殊設定ミステリのいまを解き明かす!」という長いタイトルの記事を掲載しました。 ご一読のうえ、拡散にご協…

べつにこのままSF小説が中高生に読まれず滅び去ったとしても良いんじゃないか論。

【若者とSFと】 【面白いSFはたくさんあるのだけれど】 【さいごに】 この記事はこちら()からはてなブックマークに登録できます。もし面白いと思われましたら何かしら言及していただけるととても嬉しいです。よろしくお願いします。それでは、記事へどうぞ…

「じゃがいも警察」にも「異世界文字警察」にも負けないファンタジー世界のリアリティとは何か。

こんなツイートがあって、 アニメ薬屋のひとりごと なんでこんな馬鹿な表現やったんだろう pic.twitter.com/h8VfY0Es7S — ナトリ (@natori) 2023年10月25日 こういう言及がついて話題になっていた。 これね、物凄く難しい問題で、制作者も悩んだと思うの。だ…

ウクライナ戦争、ガザ紛争や台湾有事が現実問題となったいま、マンガは「異質な他者」をどう描くか?

いま、人類社会は「分断と対立の時代」を迎えているといわれている。 拡大する経済格差や、さまざまな政治思想、そしてそれぞれの立場における「正義」の対立が否応なく分断を生み、人々の距離を遠ざけているのだ。 ネットを見れば、だれもが自分の地位に不…

SF小説はべつに衰退していないそうですよ。

先日、その当時の『SFマガジン』の編集長である今岡清さんが『ガンダム』ノベライズの掲載を断わった話を回想していて、それにその頃のいわゆる「『ガンダム』SF論争」が絡んでちょっと話題になった。 昔話16私は石頭なんだろう、SFマガジンにふさわしくない…

『転スラ』、『リゼロ』、『薬屋』、『無職転生』などアニメ化人気作がずらり! 「小説家になろう」と「異世界転生」の魅力とは?

このようなツイートを読みました。 「異世界転生は必要か?」に対して ・現実の知識を持ち込みやすい・でも空想の世界なのでリアリティ警察に突っ込まれにくい・つまり書き手が書きやすい っていうのはわかったんだけど、逆に読む側の心理がよくわからない。…

『葬送のフリーレン』最新刊まで「つまらない」と感じる人も楽しめる読み方。

来週のアズキアライアカデミアにそなえて『葬送のフリーレン』を読み返している。少年漫画って基本的に何かが欠けている主人公がそれを手に入れる「獲得の物語」のパターンだと思うのだけれど、『フリーレン』は失って初めて自分が欠けていることに気づく「…

あなたも『銀河英雄伝説』がわか(らなくな)る。登場人物のなか最強、ヤン・ウェンリーとは何者だったのか。

Twitterで以下のように呟いたところ、ちょっと反響があった。 でも「「厭世的で皮肉屋で怠惰に見えるが実はすごい才能をもっており、不本意ながら大活躍してしまい周囲にチヤホヤされる」キャラ」を作ってもヤン・ウェンリーにはならないんですよね。ヤンの…

『転スラ』や『葬送のフリーレン』を本当に「ファンタジー」と呼ぶべきなのかどうか考えてみた。

こんなツイートを見かけたので、ちょっと言及してみた。 そういえば、どうせ魔法も神も居るファンタジー異世界なら、そもそも大地が丸くないとか、宇宙とそこに浮かぶ惑星上じゃないとか、そういう異世界を見たい気もするんだけど、近年のRPGとかそれ風世界…

【無料】なぜ、ただのアニメやゲームが人を救うのか、宗教的に説明するよ。(続完全版)【長文】

第五章「物語は「神なるもの」をどう描いて来たか」 ①「SF小説に見る宗教性と反宗教性」 ②「科学合理性の魅惑と限界」 ③「後期クイーン問題と神」 ④「酸鼻と陰惨のゴシック・ホラー」 ⑤「ナルニアへ続く箪笥」 第六章「性と聖」 ①「推し活は「性的消費」なの…

【無料】なぜ、ただのアニメやゲームが人を救うのか、宗教的に説明するよ。(完全版)【長文】

それは、どこかで「聖なるもの」と繋がっているのか? それともまったく無関係な「俗なる文化」に過ぎないのか? 考えてみよう。 序文 序章 第一章「オタク・スピリチュアリティとは何か?」 ①「オタク文化と宗教のアフィニティ」 ②「アイロニカルに没入する…

待望の2巻はいまだ出ず。打ち切りの噂も。水野良『ロードス島戦記 誓約の宝冠』をネタバレ解説!

この記事をお読みの皆さんのなかには、ファンタジーが好きな方が少なくないものと思われます。 それでは、日本におけるファンタジー小説最初期の作品である『ロードス島戦記』をお読みの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか? 『ロードス島戦記』の第一巻…

性欲から自己実現まで「小説家になろう」作品の魅力をマズローの5段階欲求説で解説してみた。

アニメ化してちょっと話題になった『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』(タイトル長いよ……)の漫画版を読んだ。 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフす…

セカイ系とSFはどう違っているのか? 『ほしのこえ』から『ガンダム』まで方法論を読み解く。

「セカイ系」とは何なのか、たとえば「SF小説」とはどう違っているのか? その問いから始めて、『エヴァ』や『ガンダム』から『攻殻機動隊』、あるいは『進撃の巨人』といった傑作アニメに共通する「ワールドビルディング」という方法論を見ていきたい。 【…

大人気アニメ『はめフラ』のキャラクターとあらすじを総解説!

はじめに~『はめフラ』とはどのような物語なのか? 『はめフラ』の登場人物(キャラクター) 『はめフラ』アニメと漫画と原作の違い、及び各作品の内容と感想 テレビアニメ アニメ映画 漫画『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』 …

エドガー・アラン・ポオ、谷崎潤一郎、江戸川乱歩、三島由紀夫。人工楽園を巡る耽美文学の系譜。

朝、何気なく青空文庫を眺めていたところ、谷崎潤一郎の「黄金の死」が収録されていたので読み返してみました。 美食倶楽部 ――谷崎潤一郎 大正作品集 (ちくま文庫) 作者:谷崎潤一郎 筑摩書房 Amazon 谷崎のほかの『春琴抄』だとか『痴人の愛』だとか『細雪』…

母は殺せるし、殺しても良いし、殺すべきである。

アルベール・カミュの実存主義文学の傑作といわれる『異邦人』は、「今日、ママンが死んだ。もしかしすると昨日かもしれないが、私にはわからない。」というショッキングな文章で始まる。 異邦人(新潮文庫) 作者:カミュ 新潮社 Amazon トルストイの『アン…

アニメもマンガもリプレイも! 伝説の名作『ロードス島戦記』の思い出を語ろう。

今日も今日とてTwitterを見ていたら(何、X? 知らないな)、なぜか水野良の『ロードス島戦記』がトレンド入りしていました。どうやらブックウォーカーでセールをやっているおかげらしい。 あるいはこのツイートが原因なのかもしれないけれど、よくわからな…

ひどい結末? 漫画版の完結は? 田中芳樹の代表作『アルスラーン戦記』を再考する。

はじめに 『アルスラーン戦記』の結末 田中芳樹は「衰えた」のか? 読者のあるべき態度とは? 読者の評価を超えて 漫画版『アルスラーン戦記』はどこまで描いて完結するか? お仕事のお願い 自作の宣伝 はじめに 先日、作家・田中芳樹の大長編架空歴史小説『…

尾崎紅葉の名作文学『金色夜叉』にろくでなし非モテの源流を見たよ。

尾崎紅葉の『金色夜叉』を読みました。尾崎さんちの紅葉さん、いまとなってはほとんど読む人も少ない作家だけれど、明治時代には最大最高のベストセラー作家でした。 その代表作が『金色夜叉』。「ダイヤモンドに目がくらみ~」という一句を耳にしたことがあ…

『人魚姫』の「ほんとうの結末」を知っていますか? ファンタジー小説から失われた魔法について。

アンデルセンの『人魚姫』についてはだれでもご存知なことだろう。賛否両論を呼んだディズニー映画『リトル・マーメイド』の原作である。 しかし、その『人魚姫』に世間では知られた悲劇的な結末の「続き」があることまで知っている人はどのくらいいるものだ…

エンターテインメントは「神さま」をどう描いてきたか?

深い眠りに落ちる 少し前の手前のまどろみの中に似た密やかな夜に探し続けてるのはあのメタフィジカ祈るように紡ぎだすひとつの歌 「語りえぬことについては、沈黙しなければならない」。 ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考 シリーズ世界の思想 (角川選書) …

実存主義文学としての『無職転生』、公正世界信念としての「ざまぁ」小説。

テレビアニメ『無職転生』の第二期を見ている。 第一期はハイレベルの作画と何とも「わかっている」演出で「小説家になろう」発の異世界転生もののなかでも傑作と名高かったが、この第二期も面白い。 いや、フィッツ先輩、最初から正体を明かしてしまうのね…