アニメ『PSYCHO-PASS』が面白い。
いまからおよそ100年後の未来を舞台に、「シビュラシステム」と呼ばれる人工知能による犯罪予期システムが完成した時代を描いている。
主人公たちは体制側に属する「シビュラの番人」だが、しだいにシステムに疑問を抱くようになっていく。
面白いのは、いくらシステムの欺瞞と陥穽に疑問を抱いても、それを打破することはできないことだ。
作中でシビュラはある種の「必要悪」として描かれており、どんなに問題を抱えていても破棄するわけにはいかないのである。
シビュラを乗り越えるためには、シビュラ以上に優れたシステムを創出するより他にない。
しかし、そのようなことが可能なのか? 単純な善悪では割り切れない高度で複雑なストーリーがそこにある。
先行する『攻殻機動隊』と並んで、日本の近未来SFの金字塔といって良いだろう。
このシリーズは2023年の時点で10年以上続いていて、しかもまだ完結していない。
テレビアニメシリーズが3期まで、劇場用映画が6作あり、テレビシリーズの第4期が待望されているところである。
ただ、このそれぞれの作品は必ずしも時系列順に並んでいるわけでもなく、また、タイトルで見るべき順番がわかるわけでもないので、後から見始めた人のなかには「いったいどこから見たら良いのか?」と混乱している人も少なくないかもしれない。
そこで、この記事では、最新作『PROVIDENCE』に至るまで「物語の時系列」と「見る順番」を整理してみた。お役に立てば幸い。
さて、まず、あたりまえのことかもしれないが、『PSYCHO-PASS』は「時系列順」ではなく「発表順」に見るのがベターであるといえる。
たしかに物語はときに時間軸を前後するのだが、だからといってその時系列に合わせて見るべきものではない。
展開も伏線もすべて発表された順番で見ることを前提に組まれており、たとえばテレビシリーズ第三期を見るときに感じる「常森朱はなぜ拘束されたのか?」といった謎は最新の『PROVIDENCE』を見ることによってあきらかになる。
悪いことはいわないから発表順に見ましょう。
具体的には以下の通りだ。
●発表順
・テレビシリーズ第一期『PSYCHO-PASS サイコパス』
・テレビシリーズ第一期総集編『PSYCHO-PASS サイコパス』
・テレビシリーズ第二期『PSYCHO-PASS サイコパス2』
・映画『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」Case. 1『罪と罰』 』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」Case. 2『First Guardian』』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」Case. 3『恩讐の彼方に』』
・テレビシリーズ第三期『PSYCHO-PASS サイコパス3』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス3『FIRST INSPECTOR』』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス『PROVIDENCE』 』
一応、物語の時系列ではどのような順番になっているかも記載しておこう。
●時系列
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」Case. 2『First Guardian』』
・テレビシリーズ第一期『PSYCHO-PASS サイコパス』
・テレビシリーズ第一期総集編『PSYCHO-PASS サイコパス』
・テレビシリーズ第二期『PSYCHO-PASS サイコパス2』
・映画『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」Case. 1『罪と罰』 』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」Case. 3『恩讐の彼方に』』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス『PROVIDENCE』 』
・テレビシリーズ第三期『PSYCHO-PASS サイコパス3』
・映画『PSYCHO-PASS サイコパス3『FIRST INSPECTOR』』
常森朱拘束の真相をめぐる『PROVIDENCE』はシリーズ最高傑作といって良いひじょうに優れたストーリーだ。
おそらく、今後発表されるテレビシリーズ第四期ないし劇場版七作目では、さらに深い展開が見られることだろう。
物語のテーマはひとつ。果たして人類はシビュラを乗り越えられるのか?
きわめてSF的なテーマとコンセプトであるが、シビュラと対峙したそれぞれのキャラクターたちの成長や葛藤も見どころである。
ミクロとマクロが複雑に錯綜する傑作。ぜひ、あなたも『PSYCHO-PASS』の森に迷いに来てほしい。
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